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Friday, February 7, 2020

冨安健洋がコラロフを封じた要因とは? 5ヶ月前のリベンジに成功、強豪ローマに示した成長の証 - フットボールチャンネル

冨安健洋がコラロフを封じた要因とは? 5ヶ月前のリベンジに成功、強豪ローマに示した成長の証 - フットボールチャンネル

ローマから貴重な勝ち点3奪取

冨安健洋
【写真:Getty Images】

 アウェイながらローマから3ゴールを奪い、詰め寄られながらも1点のリードを守っていたボローニャ。ブライアン・クリスタンテの退場で一人少なくなった相手の猛攻を受けながらもきっちり耐え抜き、最後は冨安健洋が相手の攻撃をクリアした時点で試合終了のホイッスルが吹かれた。

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 セリエA第23節、ローマ戦。スタディオ・オリンピコでおさめたアウェイでの勝ち点3奪取は2012年9月16日以来。ベテランに差し掛かった元イタリア代表のアルベルト・ジラルディーノやアレッサンドロ・ディアマンティがチームにいた頃だ。選手たちは試合後アウェイサポーター席の前で喜びを分かち合い、冨安も自分のユニフォームをスタンドに投げ入れていた。

 ローマのお株を奪う攻撃サッカーを敢行。攻撃面で圧倒された第4節との対戦とは逆の内容になった。それは、前節ブレシア戦での出場停止が解けて、チームに戻った冨安のプレーについてもしかりだ。

 ローマの左SBアレクサンダル・コラロフの攻め上がりに翻弄されたあの試合とは打って変わって、攻守両面で堂々と渡り合った。「冨安はよくコラロフをブロックしてくれた」。試合後、シニシャ・ミハイロビッチ監督の代わりに取材対応をしたエミリオ・デ・レオ戦術担当コーチは、地元メディアにそう話していた。

 一体、どこが変わったのか。「ローマのようなチーム相手に引いてしまっては後手に回ることを、我われは前半戦での対決で学んだ。だから前から捕まえようとした」とデ・レオコーチは語ったが、それは冨安の守備によく現れていた。

冨安は積極的に攻める

 ローマが低い位置から組み立てを図り、左サイドに開いたコラロフにパスが渡る。すると冨安は後ろから猛ダッシュで詰め寄りプレスを掛けて、前に行かせない。もちろん周囲も連動してプレスを掛けるので、ローマのビルドアップ自体がスムーズに行かなくなり、密集状態をうまく作ったボローニャは面白いようにボールを奪って攻めることができた。

 もちろんこれまでの試合同様に、冨安は積極的に攻撃へと絡んだ。ボールを奪えば即座に縦を狙い、密集地の間に正確なパスを放って味方へとつなぐ。そして低い位置からパスを出したかと思えば、次の瞬間には前線に駆け上がって味方をフォローする。時には一気に前線へと駆け抜け、FW陣らと同じくらいの高さでミドルパスを呼び込むこともしばしばあった。高い位置からコラロフを捕まえに行く守備といい、役割はもはやサイドバックというより3バックシステムのウイングバックのそれだ。

 冨安がサイドの上下動の多くを担うことで、リッカルド・オルソリーニがサイドに張るだけでなく、ゴールを意識したポジションを取ることもできる。16分に先制ゴールを決めたのは、セカンドストライカー的に前線へと飛び出した彼だった。右サイドの連係が成熟し、オルソリーニをサイドの突破だけではなく内側に向けられたからこそ、決められたゴールでもあったというわけだ。

 もっとも、先制後ローマも反撃に出て、特に冨安のいる右サイドは狙われてしまう。冨安が高いポジションを取り、オルソリーニもFW的な動きをする分、カウンターの際にはどうしても手薄になってしまうからだ。コラロフのみならず、左サイドに開いていたディエゴ・ペロッティもドリブルで仕掛けてくる。2度ほど抜かれてしまったこともあった。

5ヶ月前にやられた相手にリベンジ

 第4節の対戦では同じ状況で振り回されたが、時間が経ってくるに連れてうまく間合いをとることができた。39分には1対1で対峙し、コラロフのクロスをしっかりと止めた。

 後半、ミハイロビッチ監督はオルソリーニの守備位置を調整。こうして助けられたことにより、冨安の守備はさらに安定した。オルソリーニが事前に相手の左SBが攻め上がるコースをカバー、その分冨安はペロッティにくっついた。

 相手が中盤でボールを持てば飛び出しに行き、抜かせもしない。一方でボールを奪えば、ダイナミックに攻めあがる積極性は相変わらず。前線で味方がフリーになっていなければ、自らドリブルで推進してチャンスを作ろうとする。こうして冨安は、役5ヶ月ほど前にやられた相手に堂々と渡り合うことができたのだ。

 ボローニャは後半にカウンターからさらに1点を追加、終盤に1点に詰め寄られるが勝利を飾った。これでチームは3連勝、暫定的ながらヨーロッパリーグ(EL)出場権内の6位に登った。アウェイではローマとナポリからすでに1勝ずつを挙げているが、しかもそれは攻撃的なスタイルで奪ったものだ。

 重要なのは、その中に冨安が十分溶け込んで機能している点である。アウェイであろうがハイプレスを掛け、ボールを奪えばシンプルに素早いパス交換と速攻を仕掛ける。その通りのことを物怖じせずにこなしていることが、このチームでの立場と指揮官の信頼を強固なものにしているのだろう。攻撃面でも高い貢献ができるというキャラクターとマッチしたクラブに入ることができたのは、彼にとってラッキーなことだったと言える。

 アタランタから移籍するや急速にフィットし、この日も2ゴールを決めたFWムサ・バロウのブレイクや、ボール奪取と正確なパス出しの両方を担うイェルディ・スハウテンの急成長など、ボローニャというチーム自体も戦力が上乗せされ登り調子にある。その中で冨安はいかに成長するのか、そしてクラブもどう伸びていくのか。後半戦は始まったばかりだが、面白いことになりそうだ。

(取材・文:神尾光臣【イタリア】)

【了】

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2020-02-08 03:41:11Z
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