勇敢と、無謀は紙一重である。
設楽悠太の飛び出しは、勇敢だったのか。それとも、無謀だったのか。
結果だけを見れば、無謀だったということにはなる。
それでも勝負が優先されるレースで、自らのレーススタイルにこだわった設楽の勇気は讃えたい。設楽の大逃げが成功する可能性もあったからだ。
いいレースには、あれやこれやと様々な「仮定」というか、「妄想」が成り立つ。
もう少し、気温が低かったら(翌日の東京は雨が降り、涼しかった)。
1キロ3分ペースではなく、3分10秒ペースでも、十分な飛び出しだったのではないか?
レースを振り返って設楽は、「25km過ぎから、もうキツくなってしまって」と話したが、失速するタイミングがもう少し遅かったら、集団を形成する選手たちはより早く仕掛けていただろうし、違った結果が待っていたかもしれない。
自由奔放さこそが設楽の強さだった。
敗れたとはいえ、設楽の及ぼした「エフェクト」は甚大なものがあった。
レース後、疲労困憊の設楽は飛び出したことに後悔はない、と話した。これもまた、彼らしい。
東洋大時代は言葉数も少なく、インタビュアー泣かせだったが、社会人になってからの設楽の話を聞くのは、いつも楽しかった。
天真爛漫。マイペース。
レースのスタート時間に合わせて起床時間を調整することもないし、食事にもこだわらない。
常識に囚われない自由奔放さがあったればこそ、日本記録の樹立につながったと思う。ただし、今回ばかりはそれが裏目に出た。
自制。
少しばかり自制することを事前のレースで体得していれば、結果は違ったかもしれない。
それにしても、学びの場がMGCだったとは……。
2019-09-17 11:00:00Z
https://number.bunshun.jp/articles/-/840761
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