逆転賞金女王に挑む渋野日向子(21=RSK山陽放送)が、首位と3打差3位のV圏内で折り返した。

4番パー4で第2打をシャンク。ボギーが先行したが3バーディーで巻き返し、2日連続70の通算4アンダーの140とした。日本選手最高位で、女王を争う鈴木愛(25)と申ジエ(31=韓国)は同1オーバーの17位。渋野は逆転戴冠の条件「単独2位以上」と、ツアー本格参戦1年目で初の国内メジャー2勝も視界に入った。首位はテレサ・ルー(32=台湾)。

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賞金女王争いで、圧倒的優位な位置にいる鈴木から、白旗宣言とも言える言葉が飛び出した。「なるべく自分が稼いで終わりたいとは思っていて、あとは本当に誰か違う人に優勝してもらうっていう選択肢しかないので」と、賞金ランク2位の申ジエ、3位渋野以外の優勝を願った。

2日間を終えて1オーバーは予想外の結果だった。風に苦しみ、自分ではいいショット、いいパットがバーディーにつながらない。前半は1ボギー。後半12番では5メートルのバーディーパットが、カップの縁をクルリと1周して飛び出しパー。続く13番でこの日初のバーディーも、最終18番でボギー。「何一つうまくいかなかった。フラストレーションがたまるしかなかった」と頬をふくらました。

前日は、帯同キャディーに読んでもらった風の方向が逆でつまずいた。ホールアウト後、普段はやらない音楽を聴きながらの練習で気持ちを沈めた。「今まで何度も助けてもらって優勝できた」というキャディーと「良い関係でできました」と前向きに戦った。

それでも悪い方に傾いた流れを引き戻すことはできなかった。左手首や親指痛、体調不良などから復帰して怒濤(どとう)3週連続V。前週も渋野と優勝を争い、勢いを持って臨んだ最終戦だった。2位の申ジエとは約1499万円、3位渋野とは約1511万円差。鈴木は優勝できなくても単独2位か、争う2人の優勝がなければ、10位以内に入れば賞金女王の可能性はぐっと上がる。そんな有利な状況も考えられないくらい女王は苦しんでいる。【桝田朗】